冥府の星と言われプルート(ハデス)神が司る、死と再生の星、冥王星…。
ここでは惑星のパワーを取り入れた魔術儀式を行ったり、占星術で読み解いたりする人のための「冥王星」の意味をまとめていきます!

冥王星の科学的知識
- 冥王星(Pluto)は、冥王星型惑星の代表であり準惑星です。
- 冥王星の質量は月の0,2倍と小さく、直径は月よりも小さいので太平洋にもすっぽり収まる大きさです。
- 冥王星の衛星であるカロンの直径は冥王星の半径以上と大きいため、二重天体とも呼ばれます。
- 他の衛星は、ニクス、ヒドラ、ケルベロスがあります。
- 冥王星の大気は薄く、軌道上太陽に近い場所かどうかでその成分が変化します。
- 冥王星は部分的に表面主成分が異なり、一方はメタンの氷、一方は窒素や一酸化炭素の氷でできています。
- 表面温度は平均約-223.15℃です。南極に熱放出があり、太陽から受ける熱量の2倍を生産しているといわれます。
- 冥王星は離心率が大きな楕円形の軌道です。
- 公転周期は248年です。地球から見ると、ひとつの星座に約10~32年います。
- 自転周期は6日です。
- 冥王星は肉眼では観察できません。
冥王星のあれこれ
- 質量…冥王星1個=地球0,002個
- 重力…地球で体重30kg=冥王星で2,1kg
- 自転軸の傾き…120°(反時計周り)
- 磁場強度…ほとんどない
- 太陽からの距離…平均59億km
- 軌道の傾き…17°
冥王星に関する神話
冥界の王、ハデス。
全能の神ゼウスや海の神ポセイドンの兄にして、冥界と死者の国の領地の守護を任された神です。
物静かで陰鬱な性格でハデスは滅多に城から出ることはないと言われます。
現代で言えば引きこもりになるのでしょうが彼の場合は、ただの引きこもりだけではなかったようです。
武器として帽子「隠れ兜」を与えられたのですが、これ「不可視の帽子」なんですよね。
ハリーポッターの透明マントみたいに不可視になりますので、物質界でハデスの姿は見えないと言われました。
つまり「死」や「魂」や「闇」は物質界では目に見えないものなのですね。
そんなハデスが治める冥界は、一度入ったら絶対に出ては来れないと言われています。
地獄の門番である3匹の猟犬の頭を持つケルベロス、地獄の川の舟守をするカロンがいます。
(因みにニクスは夜の女神、ヒドラは怪物です)
冥界の奥にはタルタロス(日本人的に言えば奈落)があり、ヘカトンケイルなど怪物が落とされたことで有名です。
またティタン神族も幽閉されています。
強い者たちを奈落に封印するなんてどんだけハデス強いの?と思いますが、実際、トラブルメーカーゼウスも頭が上がらなかったそうですよ。
そんな引きこもりなハデスなので残っている神話が恋バナしかありません。
ある時、ハデスはゼウスとデメテルの娘のペルセポネに一目惚れしましたが奥手すぎてどうしたらいいかわからず、ゼウスに相談します。
ハ「ペルセポネちゃんと結婚したい」
ゼ「いいよー」
父の許可が出たので早速大地を割ってペルセポネを豪快に拉致。
現代なら「オタク、絶世の美女に一目惚れして拉致監禁する」ってTwitterで流れちゃいます。
ペルセポネは突然の求婚にOKするハズもなく、そんな中ゼウスの横暴。
ゼ「やっぱり娘返して」
ハ「」
ところがハデスも諦めかけていた時、ペルセポネが4粒だけ柘榴の実を食べちゃったので、1年の内4カ月は冥界で暮らすことになり、ついにはハデスの妻になったのです。
ここまでが有名な話。
しかしペルセポネは案外ツンデレで、嫁いだ後も陰鬱ハデスに愛を向けることはなかったのだそう。
悲しみを背負ったハデスは妖精とイチャコラしてしまうのですが、これがペルセポネにバレて修羅場になります。
ペルセポネは妖精を踏みつぶして(これがミントになったそうです)、はたと我に返る。
ぺ「あれ、私、まさかす、す、す…好きなの?」
ハ「」
こうして冥界は平和になりました。
冥王星に関する魔術的能力
冥王星は、ゆっくりと働きかけて、人間そのものの成長と変容を促す星です。
自分自身や相手をよく理解し思考や生き方を変えたり、本質的な世界の流れ行く様を受け入れることを教えようとします。
星座でいえば蠍座(タロットの死神)が守護に持ち、さらに下記対照表ではタロットの審判の意味を持ち合わせます。
占星術では、長い時で10年程ひとつの星座にいますので、冥王星自体が個人的影響を及ぼすというよりは、人類全体に及ぼす影響の方が大きいと言います。
ホロスコープを見て個人的影響を見る際には、冥王星とアスペクト(角度)を成す惑星やハウスを見て、変容や成長、理解に必要な事柄を見ることが多いですね。
魔術における願いの方向性として、冥王星は「蘇らせたい願い」や逆に「終わらせたい願い」によく使われます。
つまり死と再生を意味するものです。
しかしこれは「始まりの終わり、終わりは始まり」という世界の本質的な原理を表していますのでよく理解してから使用しましょう。
終わらなければいけないものに無理やりしがみついたりするのではなく、「変わるための一歩」を後押ししてくれます。
また矛盾するようですが冥王星にはもう一つの側面があり、「夢中にしたり拘束する力」があります。
長い期間ひとつの星座に居続ける冥王星だからこそ、熱中し拘束する力に長けているのかもしれません。
しかしこれも世界の原理に外れてはいけません。
気持ちや居場所が夢中になったり拘束されるからこそ、自分や相手が変化・成長を遂げることを念頭に置いてください。
つまり、冥王星の加護下では、変化や成長がない心や人間関係は淘汰させる力が働くのです。
「冥界の地下には黄金が眠る」と言われていて、莫大な財産があると言います。
ティタン神族を幽閉しているんだからそりゃあ莫大な力があるでしょう。
しかしその富を使ったり、物質化させたりできるかどうかはわかりません。
もしかすると先祖代々に受け継がれてきた遺産かもしれませんし、「黄金」がそのままの意味の資産価値があるものかどうかもわかりませんし、もしかすると目に見えるものではないかもしれません。
冥王星は、「死」そのものを守護します。
安易に冥王星の力を使うのはおすすめしません。
私たち魔女でも緊張しながら扱うような、大きな力です。
対照表・冥王星

- 冥王星…変容、死と再生、終わりの始まり
- タロット…20ジャッジメント(審判)…奇跡、永劫
- 守護石…ファイヤーオパール
- ヘブライ文字…シン
- 色…ボルドー、茶、黒
- 動物…蛇、ライオン
- 植物…柘榴、ハイビスカス
- 魔術武器…ワンド、ランプ
- 香…フランキンセンス