先見の明、希望と魔除け
先見の明を与え、希望と魔除けの樹、ファー(モミ)…。
ここではケルト樹木のパワーを取り入れた魔術儀式を行ったり、オガムやルーンで読み解いたりする人のための「ファー」の意味をまとめていきます。
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ファーの植物学的知識
- ファー(Fir)は、マツ科モミ属の常緑針葉樹。
- 幹は真っすぐに伸び、樹高30~40m
- 葉は線形でらせん状に互生、2~3cm、葉先はへこみます。
- 樹皮はなめらか。成長すると鱗片状に剥がれます。
- 雌雄同株。雄花は円柱形で5月に咲きます。
- 果実は球果で10~15cmの円柱形。10月頃。
山中でのファーの見分け方
- 日向でも日陰でも育ち、寒さに強いので寒冷地でも分布します。
- 遠目では「モミっぽい」ものも、葉の付き方が見分けるポイントです。
- 葉の付け根が丸い吸盤状のものがモミ属です。
ファーに関する神話
モミの木に住む小人が村に良事を為すという信仰から、花や卵、蝋燭の明かりなどをこの木に飾りその周囲を踊りまわる祭がありました。
これがクリスマスツリーの起源 と考えられ、その小人がサンタクロースになって伝えられたと考えられています。
また、古代ケルトではモミの木を「魂の戦士」とし、クリスマスツリーの天辺の星は灯台の役割を持つとされました。
ケルト宇宙で「闇の半年」とされる冬でも力強い生命力を見せ、「光の半年」である春から夏の期間にも凛とそびえ立つことから不死と再生の象徴とされました。
三相の女神(月の女神)すなわち、処女・母・老婆と関連付けられました。
春に芽吹き、夏に実り、秋に刈り取られる、季節や時間の流れを表しています。
鍛冶と癒しと先見の女神であるブリジットに捧げた木です。
同じく月の女神アルテミスとも関連付けられています。
樹皮と油(やに)の香りは浄化の作用があり、月の浄化の際に用いられました。
アルテミスは全ての邪悪なものをこれで浄化し、冬至で生まれたばかりの太陽の御子のために適切な環境を提供しました。
ファーに関する魔術的能力
- 希望
- 守護
- 魔除け
ケルトでは四季を通じて緑の葉を付けるモミを「 闇 」と「 死 」と「 寒さ 」の支配する冬の森の中で「 希望 」と「 堅実さ 」の象徴として崇拝しました。
また、モミの枝を戸口や寝室、穀物小舎、家畜小舎に飾り、 悪霊除け とする風習があり、現在でも クリスマスとは無関係に この習慣が続いているそうです。
ユール(冬至)ではモミを飾りました。それは日の当たらない場所で育ち、厳しい冬でも枯れることのないモミを永遠の命と考えていたからとされています。
根はあの世に届くほど深く、葉は天使の羽毛のようなシルバーの輝きを放ち神聖視されていました。
モミの木は霊力が強く、悪霊などがモミの木の生えてる場所を避けて通るとされることから、魔除けの魔術に用いられました。
ルーンでは【T】(ティール)「勝利の剣・正義」を意味します。
ファーのオガム占いの意味
オガムでは【A】「先見の明・視野」
ファーに関するハーブ学的能力
とても高く成長するファー。ヨーロッパの木々の中で一番背が高く、人々を魅了します。
そのため遠くのものまで見通すことができる「先見の明」の力があるとされました。
未来を視覚化する(イメージする)際によく使用されました。
ファーは厳格さの象徴でもあります。
それは環境が厳しい低山や、日当たりの悪い北側や谷間を好むからです。
他人に依存せず自分自身の力で切り拓いていく、そんな木の意思を感じます。
対照表・ファー
- ファー…モミ。希望、魔除け
- 属性…不明
- 守護惑星…不明
- 陰陽…不明
- オガム…Ailim(アールム)先見の明・視野
- 階層…冥界
- 階級…低木
- 暦と出生…1月2日~11日、7月5日~14日、冬至直後
※ケルトの木の暦には諸説あります。
ファー(モミ)の動画
ファー樹木の販売