作ったものには念がこもる
今宵は「自分の手で作ったものを誰かにあげる」という行為について、魔術的に解説します。
あげる・譲る・販売する…表現方法は様々ありますが、ここで言いたいのは「作ったものが誰か別の人の手に渡った場合」です。
金銭が絡んでいようがいまいが、この行為には魔術的意味が付属されます。
脅すわけではありませんが「タダより高いものはない」、特に魔術に関するものは、むやみに制作したり譲り受けたりすることのなきよう注意喚起。
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製作(ウィッチクラフト)は念を込めるもの
人の手で作ったものは、どんなものか・どんな人かに関わらず、念が入るのが普通です。
それこそ「丹精込める」と言いますが、丹精…魂が入っているのです。
プレゼントする相手のためを思って作ったもの、相手のために選んだものはとても良い守りの能力に成り得ます。
逆に適当に作って、適当に選んだプレゼントは、それが相手にも伝わって、適当な関係性しか生まないでしょう。
そして、これが問題なのですが、嫌いな相手にやむなくプレゼントしたり、意識せずとも負の念を込めて製作したものは、言わずもがなそのような能力を宿すことでしょう。
無意識に負の念を込めている場合が多い
「いやいや、わざわざ嫌いな人になんて贈らないし」「そもそも怨念なんて抱いてないし」とお思いかもしれません。
しかしこれらの念は無意識下で操るものなので、意識しながら良い念だけを込めようとするのは至難の業です。
例えば、好きな人へのプレゼントは無意識下でも好きという気持ちでしょうから大丈夫ですが、仮に嫌いな人へのプレゼントは意識で好きだ!と思えても無意識下ではやっぱり嫌いなんですよね…。
無意識の感情、好き・嫌いなどをコントロールすることは、魔術の訓練にもありますがとても難しいものです。
何年もの鍛錬が必要になります。
自己管理ができないとクラフトを許されない
さらに魔女たちの修行では、体調管理・精神的な安定など物理的にも精神的にも健全でなければ、ウィッチクラフトは許されていません。
なぜなら、日々のストレスや疲れなどから、負の念に傾きやすいからです。
仕事が忙しくてイライラしていたり、風邪をひいて体調が良くなかったり、月のもので自律神経やホルモンバランスが乱れていたりした時に、良いウィッチクラフトができると思いますか?
体調万全の時に作った方が、納得いく仕上がりになると思いませんか?
そのために魔女たちは、ハーブ学を学び、物理的な体調管理から行います。
これはウィッチクラフトだけでなく、儀式や占いでも同じです。
例外を除いては、魔術は体調万全で行うべきなのです。
作り手の心が反映される
言葉で表現するのは難しいのですが、さらに心に余裕があり、広く、懐大きく、おおらかでいなければいけません。
誰しもそうだと思うのですが、心に余裕がない時は少しのことで頭にきたり、文句が出たりします。
勿論、人間ですから愚痴は当然あります。言ってもいいのですが、常にグチグチしていてはだめなのです。
例えばパートナーに愚痴をこぼしたらそれでスッキリして、きちんと心をフラットにできる自己調整が必要です。
常に不安を抱えていたり、悩んでいたり、自信がなく愚痴ばかりの人は、負の念でいっぱいですね。
はっきり申し上げておきますが、不安も悩みも誰しも何かしら抱えているので、どこかで自分自身で前向きに、心を調整することが必要です。
誰もそれを解決できない。自分の努力でしか解決できないのだから。
魔女のウィッチクラフトとは
では魔女たちはどのようにウィッチクラフトを行うのでしょうか。
宗派・流派によって様々なやり方があるかと思いますが、私たちの場合だと儀式と同じように魔法円の中で作業を行います。
魔法円とは儀式を行う清められた結界で、自分でこの円を作り(つまり心を清めフラットにした状態を作る)、トランス(意識と無意識の狭間)状態で製作を行います。
なぜなら私たちは、ウィッチクラフトが特別な意味を持つことを知っているからです。
まず初めに知識が必要だった
順を追って説明します。
私たちが考える魔女や魔術の在り方とは、まず初めに知識の探求でした。
知らなければ何もできない、基礎がなければ積み上げられない、土台がなければ鍛錬を行えないためです。
ですから黒猫魔術学園のセミナーでも「まず初めに知識を叩き込む」をモットーに座学中心にしています。
基礎知識の座学が終わったらやっと占術などの実践が行えるようになるためです。
逆に言うならば、基礎知識を知らなければいくら実践で経験を積んでも無意味です。
無駄に年数を積んだだけで何一つ実にならないと等しい。
魔術における基礎知識とは
私たちは魔術において、「エレメント(四大属性)」をとても大事に扱っています。
エレメントとは「火・水・風・土」の、世界を構成する四大元素のことをいい、魔術ではこれが結合したり分解されたりして物理的にも精神的にも形作ると言われています。
人間の肉体に例えると、熱エネルギーは火属性、体液は水属性、呼吸が風属性、皮膚や骨が土属性となります。
このように他の物質・ハーブ・食べ物・空間に至るまで、どの属性配分かを見極めながら、必要なエレメントに力を貸してもらいながら、ウィッチクラフトは行われます。
魔法の力は知識の上に成り立つ
それは魔法のように聞こえるかもしれませんが、エレメントの原理を分りやすく例えてみましょう。
例えば料理をウィッチクラフト(製作)する時に、体を温める効果のある唐辛子や生姜は、カレーやスープなどの温かい食べ物に向いています。
それを知らないで、冷たい料理として食べるとしましょう。勿論、味は変わりありませんが、摂取後の体への影響がかなり変わってきます。
それと同じように、望む願いによってエレメントの配分を考えていきます。
恋愛の願いでも状況によってはどのエレメントを多く配分するかでかなり違ってきます。
ハーブ魔術でも、石の魔術でも、それぞれの物質がどのエレメントの性質を持つか把握しなければ配分は組めません。
エレメントを召喚する
例えば魔術ブレスレット等をエレメントの配分比率を考え、きちんと製作できたとしても、その後儀式にて各エレメントの力を召喚しなければいけません。
エレメントによって力を授けて頂くためです。
これはどんなウィッチクラフト(製作)でも、願いを込める魔術具にする場合は行います。
先日、私たちは木星のマジカルオイルを仕込みましたが、この時も魔法円を作り、その中でエレメントを召喚し、力を授けて頂きました。
人の手に渡る時には再び浄化聖別を
その後、製作が完成したら浄化聖別を行います。これは自分でやる場合もありますし、ご本人がやった方がいい場合があります。
いずれにしても、私たちは細心の注意を払って製作していますが、無意識の念が入らないとは言い切れませんので、必ず浄化します。
そして聖別は、「願いの方向を決める」役割がありますので、製作したものに願掛けを施す場合は必ず行いましょう。
料理の場合は浄化はできない
ウィッチクラフトの中でも、料理はエレメントを召喚して出来上がると浄化することはできません。
ですから、魔女の間で料理は、最高の魔術儀式に成り得ました。
例えば、「自分を嫌っている人から作ってもらった料理を食べると最大の魔除けになる」と言われています。
つまり、その人はもう嫌いじゃなくなる、という意味ですね。
嫌っている時点で料理を作ってくれるかどうかは定かではありませんが、この他にもラブマジックにシナモン等のハーブと一緒に自分の思いを込めたりする魔術も存在します。
バレンタインデーに女子が喜びそうな魔術です。
安全なウィッチクラフトを
つまりプレゼントを貰ったり、あげたりする行為は、自分の念を送ったり、貰ったりすることを意味します。
それは良い思いでも、呪いのような思いでも、全て等価交換されます。
願掛けするような、願いを叶えるような魔術具は信頼する所で買い求めること。
そして心穏やかに製作できないのであれば、無理にしないこと。
販売するような時はせめて基礎知識・エレメント召喚を学ぶこと。
そして日常生活でも誰彼構わずものを送りあうようなことはやめましょう。
心、自然に生きていくことが一番です。