青森県にある太宰治の生家、斜陽館へ行って来ました。
日本の文学は、日本の民俗学や風習、都市伝説を知る上で重要なキーとなるので本の虫の私は日々読み漁っています。
今宵は太宰治と斜陽館について記していきます!
太宰治ってこんな人
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明治から昭和の日本の無類派の文豪。
代表作は「人間失格」「斜陽」「走れメロス」「津軽」などです。
幼い頃から成績優秀だが、酒好き・薬物中毒で乱れた生活を送る時期もありました。
代表作の「人間失格」は自らの生涯を綴ったかのような作品でこればかり有名ではありますが、「御伽草子」や「グッド・バイ」など芥川龍之介に影響を受けたと思われるユーモアでファンタジーな作品も多数あります。
またキリスト教の聖書の影響を受けた作品「駈込み訴え」などもあり、面白いのです。
魔女としては太宰作品は、民俗学や伝承などの研究のために読みふけったものです。
生い立ち
1909年(明治42年)、津島家の六男(津島修治)として生まれる。
ただし長男・次男は生後間もなく亡くなっているため、実質5男子、4女子の兄弟で育つ。
父の津島源右衛門は貴族院議員で、後に斜陽館と呼ばれる豪邸を建てる。
斜陽館は名産のヒバで建てられた。
趣味・嗜好
酒と薬と自殺が好き…というのは有名な話ですが、最後の自殺に関しては不可解な点があり警察でも疑問視の声があったとか。
ただその後に遺族が遺書を提出し、自殺という見解になっています。
二重廻しと言われるマントを愛用していたそうです。
背丈170㎝以上の大食漢といいますから、恰幅の良いお洒落なイケメンだったのでしょうね。
恋愛観
女給など身分の低い相手と自殺をはかり未遂に終わるなど、奥さんはいますが、その他の女性とも関係があったようです。
しかし「妻の美智子が一番」という遺書もあることから愛していたのだろうなと思います。
現に太宰治が、精神的にも作品的にも安定していた頃は戦時中だったにも関わらず美智子との結婚後でした。
まあ、美智子の浮気によってまた不安定になるんですけど…
人間関係
家族の仲はあまり良くなかったことを作品中に書いています。
芥川龍之介のファンだったらしく、彼が自殺した時ものすごーく凹んで引きこもった話は有名ですね。
芥川賞にこだわるもとれず、川端康成や佐藤治夫、中原中也、志賀直哉と喧嘩っぽいこともしています。
斜陽館ってこんな所
斜陽館は、津島家が当時経営中の金融業店舗を兼ねた住宅として竣工。
幼少の太宰治の生家ですが、現存しているなんてまず驚き!立派な家ですもんね…
その後人手に渡り一時期旅館として営業していたが、現在は青森県五所川原市が所有しています。
こちらは正面玄関。立派すぎて圧巻でした。
こちら中庭。庭も凄いですけど、細工模様の障子ばかりでした。
こちらは洋間。商談などが行われていたのでしょうか…
このように生家が和と洋が混ざっているので、太宰治自身も和と洋を混ぜた世界観の作品が多いのかもしれませんね。
お洒落な座敷は母の部屋だったそうです。
このモダンな感じ好きです!
太宰治の代表作を読んでみた
Amazon Kindleでは文豪作品は青空文庫で読み放題なのでおすすめ。
時間のない人はマンガもあるし、Amazon echoがあれば朗読をしてくれます。
人間失格
社会に抑圧されながら育った若者が廃人になる生き様を描いた作品。
太宰治本人も殺人未遂を繰り返していたことから察するに、彼自身の思想や哲学が随所に織り込まれている。
彼の中では「顔がない人間」と表記される。
おそらくは人を信じられなくなると家族でさえも、顔がないように見えたのだろう。
幼少期に親族(女性が多い家族だった)から性的いたずらをされたことが作中に描かれている。
これがその後の彼のコンプレックスになったのだろうか。
現地のストアにはアニメ「文豪ストレイドックス」の太宰治カバーのものも販売していました。
斜陽
終戦後、貴族が没落する様を描いた話。
懸命に生きようとする母娘と、麻薬中毒の弟と、どうしようもない小説家(笑)。
人間失格もですが、太宰治の周りってこんな人しかいなかったの?悲しいよ。
こちら↑は太宰治の作品が一通り監修されている本なので一気読みしたい人には便利。
走れメロス
私が解説するまでもなく有名な作品です。
人間不信の王様に対して友情や信頼とは何か?を訴え、教訓とする話なので子供でも読みやすいですね。
この頃戦時中であったにも関わらず、精神的に安定してこのようなユーモラスな作品を多く手掛けています。
御伽草子
こちらもまた「走れメロス」と同時期くらいに書かれた作品です。
なんと防空壕の中で書いたと作中にあります。
「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切雀」の話ですが、主人公たちの掛け合いが楽しいのです。
特に浦島太郎と亀の掛け合いなんて最高です。
この頃の社会や人間性、常識などがよくわかりますし、教訓にもなります。
蜜猫が感じる太宰治
人間失格や斜陽は「退廃的」と言われ、太宰治自身も乱れた生活を送っていたことからそんな人柄だと思いがちですが、私が焦点を当てたいのは「走れメロス」をはじめとするファンタジーな作品の方です。
明治から昭和の戦後までを生きた中で、メロスのような西洋を舞台とした教訓物語を何作か書いているのです。
また日本の古事記や今昔物語などを元ネタにした「御伽草子」も面白い。
「人間失格」や「斜陽」は確かにその時代を知るにはとても良い作品ではありますが、それだけでは太宰治の素晴らしさは計れません。
このユーモラスでファンタジーな世界にこそ太宰治の価値があると私は思います。
と、いうことを念頭に置いて話すのですが、このような昔話(童話)の中には民俗学や風土、風習などが混在しています。
例えばグリム兄弟の童話は子供に安全な道徳観念・倫理観を教訓として身に着けさせるために、ユング心理学のアーキタイプ(元型)が多用されています。
このことは日本の深層心理学の巨匠である河合 隼雄先生が書いてますのでこちらをご参考に。
元になった話を脚色したり、創作したりしても、教訓を持って描く太宰治の作品は、太宰が心理学を知っていたか知らなかったかはさておき、素晴らしいものになっています。
今日の教科書にも登場するくらいですからね。
むしろメロスだけではなく、太宰治のこういった作品を多く子供たちに読んでほしいと思います。
そしてこういった話は、民俗学や風土、風習、伝承、都市伝説などを研究するためにも役立つものです。
太宰治が執筆した頃は、日本は戦時中ですので防空壕内で書いたというものもあります。
またキリスト教が解禁され聖書や、外国文学、大学でもそれを教え始めた頃にあたります。
日本の伝統的な見解と、西洋の見解が交わり、新たに融合する思想が生まれているはず!
それを皆さんも実際に読んで感じて頂きたいな、と思います。
読書にはマジカルオイル・フライングを!
私は魔術の研究のために文学作品を多く読みますが、魔術は心の在り方・育成も必要です。
多くの本に触れて、多くの世界を感じることは、主観だけでなく客観視する能力が育まれます。
私は病気の頃ほとんどベッドで様々な本を読み生活していましたが、それは全く無駄なことではありませんでした。
もし魔術を極めたい、と思うならぜひ本を読んで心を極めてみてください。
本を読む時には「マジカルオイル・フライング」がとってもおすすめです。